5分で解説! 今さら聞けないカメラの話〜元祖高級コンパクトカメラ・ローライ35〜

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ローライ35は、かつて二眼レフ機で一斉を風靡したドイツ・ローライ社が作った、高級コンパクトカメラ。
この機種とともに、当時巻きおこったコンパクトカメラブームを牽引しました。

写真はシンガポール製の初代モデルですが、初期のモデルにドイツ製のものがあって、ドイツ製はファインダーがガラス製でフィルム室を開閉するためのプレートの形状が違っていたりします。
こだわる人はドイツ製を選ぶし数も多くないので、自ずと取引価格は高くなっています。

製造元以外にもとにかくバリエーションが多いのが特徴。明るいゾナーのレンズが搭載された「ローライ35S」や初期モデルをリファインした「ローライ35T」、機能を一部オミットした普及種、露出計の表示を変更したモデル、各色替え、記念カラーなど膨大にあって、基本的な形は変わらないためコレクション性も高いです。

高級コンパクトカメラの由縁は超コンパクトでありながら機械式という仕様にあります。
見た目に反してずっしり重く、ローライが持つテクノロジーの結晶といった手応えを感じることができます。

ローライが手掛けたカメラには繊細さのある精密感があり、それはライカやハッセルブラッドのカメラとはまた異なる、ローライならではの質感といえます。
小さなローライ35にももちろんその意匠は盛り込まれているので、凝縮されたローライのものづくりをじっくり感じることができるでしょう。

▲シンプルな軍艦のデザイン。シャッターにはねじが切られていてレリーズを繋げることができます。左のレバーはフィルムの巻き上げレバー
▲設定したF値に応じた絞り羽根に代わったらレンズがしっかりロックされた合図。絞り羽根の形状は六角形
▲フィルムの感度を設定するダイヤル。下の銀の部分を押しながら回します。それをしないで回すと壊れてしまうので注意
▲シャッタースピードダイヤルはロック機構などはなくそのまま回してOK。前面にはフィルムの種類を示しておくダイヤル付き
▲ファインダーは素通しで撮影範囲だけが記されている状態。一眼レフなどと違ってレンズを通した撮像を見るわけではないので、レンズにフタをしたままでも気づかずに撮影できてしまう。ただ、ローライ35はレンズを繰り出さないとシャッターが切れないギミックが盛り込まれているので、そういったミスは起こりづらい
▲カメラの底面に三脚ネジ穴のほかにフィルムの巻き戻しクランクやホットシューを配置するという発想。三脚ネジ穴の窓はフィルムのカウンターになっている。ギミックをギュッと詰め込んだ箇所だが、無理がなくみえるのはデザインに基づいた配置によるものだろう
▲フィルムを抑える板を開けるとレンズの裏側や精密な機械仕掛けも垣間見える。お分かりの通りレンズシャッターでシャッター幕は無い。フィルムを通すときにはこの状態にしてフィルムを巻かないと大変なことになる。

使用するフィルムはもちろん35mmなので、いまでも充分運用可能。
フィルムとはいえ、このサイズでフルサイズの写真が取れると考えるとローライの技術力の高さには驚くばかりです。

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