ガンプラを始め、キャラクタープラキットからプラモデル趣味の世界に足を踏み入れて、そろそろスケール模型にも挑戦してみたい…! と思ったときに、何を作るのが自分にとって最善なのかわからない人が意外と多い。

「作りたいものがあるからスケール模型に挑戦したいと思ったんじゃないの?」って、事の矛盾を指摘したくなる人もいるとは思いますが、制作意欲が湧く要因ってそんなに単純じゃないと思うんです。

スケール模型を楽しんでいる人たちを目の当たりにして、その輪に入って楽しさを共有したい、でも何を作ればそれができるのかがわからない、というメカニズムが結構多いんじゃないかと、経験上思うのです。

では、それが飛行機模型であったとき何がオススメでしょうか?

大戦機の代表格であるドイツ・メッサーシュミットBf109? 日本人なら大概知っている零戦? キットはとりあえずタミヤが作りやすいからタミヤのを選んでおけばOK!
これがおおよそセオリーな答えだと思うし、間違ってないでしょう。Bf109も零戦も、飛行機模型を作っているといずれ作ることになる機体です。

でもこれは見方を変えると、初心者はまずこれを作っておけば間違いない“安牌”を授けているだけで、これから飛行機模型を作ってみたいと思っている人の意欲をさらに掻き立てるためのキャッチーさは乏しいチョイスなのかなと思うわけです。

一言でいうと“ベタ”なんです。

結局、一周回ってベタが良かったりするんですけど、それはいろいろ藻掻いたあとでも遅くはないかなと、個人的には思います。

「飛燕」をチョイスするオススメポイントとは

Bf109でも零戦でもなく、日本の高速戦闘機「飛燕」をオススメする理由。

川崎重工が手掛けた大戦時の日本軍で唯一の液冷機で、エンジンが元ドイツ製っていうドイツのエッセンスが含まれたどことなくヒロイックで惹かれるデザイン、でも実際には整備性が悪いうえに敵からカモられるくらいの雑魚飛行機だったっていう、申し分ないエピソードを持った機体であること。

模型的な部分でいっても、迷彩の難易度は高いもののメインカラーが隠蔽力の高いシルバーなので、修正が効きやすく見映えも良い。作った後の満足度はかなり高いです。

デザインもどことなくドイツっぽい意匠で、零戦をはじめとする日本軍らしい飛行機にピンと来なかった人には結構ささる飛行機だと思います。

タミヤ 1/48 飛燕を完成させてみよう

▲キット内容にしてはボリュームが抑えられている印象のタミヤ1/48飛燕

キットはやはりタミヤ製が良くて、1/48スケールのものをオススメします。
飛行機模型は1/72のほうが作りやすいです。すぐ完成しますし。でも、たとえ初心者であってもやっぱり1/48が作りたい。ガンプラでいうなら1/72は1/144のハイグレード、1/48は1/100マスターグレードの位置づけに当たりますから…。

▲塗装直前の組めるところまで組んだ状態。コクピットが手つかずでもかなり形になります

とはいえ、タミヤの1/48飛燕自体はすごく親切設計になっていて、飛行機模型の特徴であり鬼門である“コクピットをボディーパーツで挟み込むから、先にコクピットやパイロットを塗装まで仕上げないと先には進めさせませんよ問題”が多少改善されていて、ボディを予め貼り合わせて合わせ目処理をした後でもコクピットがはめられるようになっています。
合わせ目処理の面積もかなり小さいのであっという間に処理することができます(ボディが真っ二つで全方位合わせ目処理なんてことは飛行機模型ではザラ)。

▲カタツムリみたいなスーパーチャージャーが見どころのエンジン。本体のほとんどが1パーツで再現されているので、組み立てただけで見応え充分。組み立てる楽しさがあります

エンジン再現がされているので、組み立てる楽しみも強いキットです。ただエンジンは組み付けると全く見えなくなります。それって意味ない! と思いきや、透明のボディパーツ(片側のみ)が入っているので、エンジンを活かした仕上げもできますし、もはや見えなくなっても苦になるほどのパーツ構成ではないので、エンタメとして楽しむのが健全です。

▲コクピットを仕上げて組み立てた状態

▲キャノピーは乗っけているだけ。

とりあえず組み立ててみました。
ディテールもはっきりしていて素組みでもかなり見映えがいいですよね。
エアブラシで塗装する場合は、先に紹介したバラバラの状態で行えばコクピットも並行して塗装することができます。
とはいえ、色分けのためのマスキングは必要になってくるんですけど、キャノピーには専用のマスキングシートが付属しているので超便利です。キャノピーの窓枠塗装が飛行機模型の鬼門の一つなので、幾分か軽減されているのはオススメポイントですね。

僕は基本筆塗りなので、キャノピー以外すべて組み立ててから塗装してしまいます。

筆塗りの場合、絶対に塗りムラが起こるので、塗りムラから暗い色が見え隠れするように影の部分に黒を塗ってあります。
ただ、シルバー自体隠蔽力が高いのでその効果はほとんど生まれないんですが、シルバーは下地によって仕上がりが変化するので、若干変化が付けられます。

▲デカールを貼った状態。これが一番時間がかかりました

筆ムラでヨレヨレしていて大丈夫? って雰囲気だったのが、デカールのシャキッとしたラインによって軽減されました。
なので、僕は塗装よりもデカールに神経を使います。デカール頼み。

完成したのがこちら。

汚しと黒バックで撮影するごまかし技で、まあまあ悪くない状態に仕上がってくれたと思います。
張線は貼ってません。というか、張り方知らない(笑)。いつでも張れるからとりあえず今はいいでしょう。

さらに内容にバフをかけるなら、制作期間は3日。18:00〜23:00くらいの5時間をそれぞれ使った計15時間で完成させています。
これは別に僕が模型を作るのが早いわけではなく、キットが良いからですよ。

ということで、その気になれば3日でドカンとかっこいい飛燕が完成させされる「タミヤ1/48 飛燕」。


初めての飛行機模型にいかがですか?