観葉植物

今流行りのビカクシダ。醍醐味は安価な普及種で楽しむべし!

2021〜2022.1 私見による観葉植物事情

コロナ禍の影響か、ここしばらく需要が高まっている観葉植物シーン。

人気の植物はあたらしい品種が続々と登場し、価格も日々高騰。
その筆頭が多肉植物のアガベです。
特にチタノタという品種に愛好家が集中しており、海外からコンスタントに新しい形のチタノタが輸入され販売。その注目度はドバイなどにも広がり、さらなる価格高騰が懸念されています。

同じく、ここしばらく価格が高騰しているのがビカクシダ。

ビカクシダ自体原種は18種と少ないものの、その交配によって特別な形のものが生みだされ、アガベと同じく子株を吹いてクローンを生み出すことから、そういった特別な種類に価値が付きやすく、珍しい種類には二桁万円という値段が付くような市場を形成しています(2022年1月時点)。

結局、ビカクシダは普及種が総合的に○

ヤフオクやメルカリなどを眺めていると高額な株が多い印象のビカクシダには、普及種がちゃんと存在します。ホームセンターなどで安価で販売されている「ビフルカツム」や「ネザーランド」というのがそれです。
安いものだと1000円以下、ちょっと育ったものでも2980円ほどで買えたりします。

そういった普及種が、人気のウィリンキーやリドレイ、それに伴う選抜苗に劣るものかというと全くそんなことはなく、
むしろ丈夫で育てやすく、管理も充分可能なサイズ感に留まってくれて…ビフルカツムやネザーランドがなぜ普及種に選ばれているのか、その理由を体感することができます。

▲2021年8月に購入しコルクボードに仕立てたビフルカツム。貯水葉をある程度展開し枯れ込んているところから芽吹いて2年は経ていると思われる。ちなみに価格は3980円
▲2022年1月時点。4〜5ヵ月で貯水葉・胞子葉ともども展開し、存在感のある姿に

胞子葉が逆立ったビカクシダらしい姿に仕立てることを夢見ているのであれば、ビフルカツムとネザーランドは最適です。
両方ともオーストラリアのビカクシダなので寒さに強くて管理しやすく丈夫。ポテンシャルにもよりますが、貯水葉の切り込みもそれなりにでて、非常にオーソドックスな姿を形成してくれます。

ちなみにそれ以外のビカクシダは、持て余すほどのサイズになったり、管理が難しかったり、育ちが遅かったりと結構癖があるものが多いので、高額な株を買ってドキドキするだけでなく、普及種も一緒に手に入れてビカクシダの世界に足を踏み入れてみるのがオススメです。

動くアガベ「王妃雷神」の成長レポート

昨今の植物ブームを牽引している多肉植物「アガベ」。特に「チタノタ」が圧倒的人気を誇っており、アガベのメッカであるアメリカや台湾から常に新しいカタチのチタノタが輸入され、価格もまだまだ上昇する傾向にあるようです(2022年1月時点)。形のかっこいいアガベをインテリアという観点から愛でる人にとってはさして問題ではないのですが、観葉植物の醍醐味である育てる楽しみを見出したい人にとってアガベはあまり向いているとはいえず、もっとも植物が動くとされる夏〜秋にかけて、水をガンガンにあげて屋外の自然光にあて続けたとしても、2、3枚葉が展開すれば良い方。
季節に応じて表情を変えてくれる植物に慣れている人にとっては少々物足りなく感じるかもしれません。

そんな方に、アガベの入り口としてオススメしたい品種が「王妃雷神」。こんなに流行るはるか昔から流通されている定番の園芸品種です。

丈夫で成長が著しい王妃雷神

▲王妃雷神錦白中斑。2021年7月撮影

2021年に5月に購入。だいたい3000円くらいでした(チタノタと比べたらかなり安価)。

チタノタと比較すると随分とおとなしく、多肉植物らしい優しいフォルムの王妃雷神。雷神という品種もあり、王妃雷神に比べるとサイズも鋸歯も大きいです。
この王妃雷神は真ん中に白い斑(ふ)が入るタイプ。斑の入り方が違ったり、斑の色が違うものもラインナップされています。

2021年12月撮影

およそ5ヵ月経った状態がこちら。購入時とは葉の密度感が全然違って見えますね。

葉の展開枚数が多少多いのもありますが、一枚一枚が肉厚でボリュームが出るから余計に変化が顕著に見えるのかもしれません。

ちなみに、葉の間に子株を付けていたのを取り外しているので、少々ボリュームが減っています。

▲2021年12月撮影

これが王妃雷神の子株を取って植えて成長した姿。おそらく4枚ほど展開してすっかりアガベらしい姿を形成してくれました。

かなり成長過程がわかりやすいので、もし王妃雷神の子株が付いたら積極的に植えていくことをオススメします。

水のやりすぎには注意?

両方とも葉に傷が出来ています。これは肉割れといい、王妃雷神のような肉厚なアガベにはよくある現象。原因はおそらく水やりに頻度が多くて、溜め込みきれずに表面が割れてきてしまいます。


ただ、子株への水やりの頻度を落とすことはその後の成長に関わってきます。

葉が割れても成長を優先し、ある程度大きくなったら水やりの管理をして形を整えていくのがオススメです。
古い葉っぱは新しい葉っぱの展開でどんどん見えなくなるので、あっというまにキレイな王妃雷神になってくれることでしょう。

“冬型コーデックス”で観葉植物の高揚感は冬でも楽しめる

人気の多肉・塊根植物には「夏型」と「冬型」というものがありまして。

それは字のごとく、「夏型」は我々にも馴染みのある夏に元気な植物。「冬型」はその反対となり涼しくなってからようやく本気を出してくるので、夏場の状態を見るとかなり不安に駆られます(トップ画像がまさにそれ)。

一般的に植物関連の趣味は冬場に休止することになると思うんですけど、冬型の多肉・塊根植物を所有していれば、年中植物趣味を楽しむことができるというわけです。

今となっては室内で育成が楽しむことができる機材も増えているので、もはや植物趣味に季節なんて関係ないまであるのかもしれませんが、それでも植物が微弱な季節感を感じ取ってくれて、然るべき時期に最良のパフォーマンスを発揮してくれます。

また冬型のものは夏型のものに比べてより特殊で個性的な姿をしている傾向にあるので、個性的な植物がささる人にはオススメかもしれませんね。

冬型コーデックスの代表格「アフリカ亀甲竜」の魅力

表面に浮かぶひび割れが成長とともに大きくなっていき、亀の甲羅のような形状になる「アフリカ亀甲竜」という冬型コーデックス。
写真は発展途上な小芋状態なのでいまいちイメージしづらいですが、成長すると…。

引用/https://manasgreen.net/4555

こんな個性的な姿へと変貌します。ここまでなると「亀甲竜」という名前にも頷けますね。
形にも個体差があるので、自分の中で魅力的に思えた個体に出会ったときの高揚感も楽しめます。カジュマルとかもそう。

ただし、この姿にするまで気長に待つ必要があります。それこそ年単位?
そんなに待てないという人は、ある程度育った個体を買いましょう。

大体実生2年くらいのもので2000〜5000円。実生約5〜10年のディテールがしっかりしたもので10000円〜と言った具合(2021年12月時点)。

実は葉っぱが可愛いアフリカ亀甲竜

個性的なひび割れに注目されがちですけど、出てくる葉っぱも良いんです。

▲夏の終りに突如生えてきた時にはちょっと感動

あの厳ついヒビ割れとは裏腹なハート型の葉っぱを展開。しかもツルを伸ばすので、仕立てることも可能。
冬型コーデックスって、よくも悪くも冬らしい(?)少し奇っ怪な姿とそれに応じた形の葉っぱを出したりするんですけど、アフリカ亀甲竜はどちらかといえば夏型を思わせる正統派な葉っぱを出してくれるので、冬を迎えて地味めな植物エリアを華やかに飾ってくれます。

針金で輪っかを作って弦を這わせてみました。上手く行けばリース・ツリーみたいになってくれるかも?
ちなみに芋は地面に埋めてます。地面に植えると芋のサイズアップが期待できるとのことで実験中。

近々に買い足したアフリカ亀甲竜。まだあまりツルをのばしていませんが、このまま葉を群生してアフロみたいになってくれてもいいなと思っています。

おまんじゅうみたいな丸いタイプではない歪な形状に逆に惹かれて購入。これが育ったときにどうなるのか、今から楽しみです。

アフリカ亀甲竜は、比較的成長が遅めの多肉・塊根植物の中でもさらに遅い部類に入るので、価格を抑えつつ実生を育てたい人は限りなく早めに購入することをオススメします。

ちなみに「メキシコ亀甲竜」というのもありますが、こちらは“夏型”になるので充分ご注意を。