プラモデル

模型撮影の心強い味方NiSiフィルター「クローズアップレンズ NC キット」

▲香港発の老舗フィルターメーカー・NiSiが手掛けるクローズアップレンズ

模型撮影は案外特殊で、小さい被写体を大きく写したいからといって、いたずらに望遠や望遠マクロを用意したりすれば良いというわけでなく、それをやるとパースペクティブがなくなって“モノ”としての写真では合格点であっても、“模型”の写真としてはいまいちだったりするんです。

模型とは本物に模したもの。だからこそリアルさを追求した仕上げを施すし、写真もそれに合わせたものにしようとすると、通常の物撮りと違ってある程度のパースとそれに伴ったアングルや必要になります。

そのためには、焦点距離関係なく物理的に寄れるズームレンズというものが重宝します。
ズームレンズであれば焦点距離の調整で画角やパースもその手元である程度調整可能。意図した写真を存分に追求することができるというわけです。

ただし、寄れると言ってもズームレンズでは限界があって、やはりマクロレンズには敵いません。
さらに寄りたいときは潔くマクロレンズの力を借りたいところですが、現行のマクロレンズってとてつもなく高いんです。RFレンズの100mmマクロで約18万円。あると便利ですけど、かなり贅沢な買い物になってしまいますよね。

そこで注目してほしいのはクローズアップレンズ。レンズ先端にフィルターのように取り付けるだけで最短距離が稼げるというものです。ピント位置が近距離にシフトされる分、ピントが合う箇所に制限が出てしまいますが、近距離撮影が主な模型撮影では差し支えないデメリットでしょう。

クローズアップレンズの効果

▲被写体は1/48の飛行機パイロット。RF24-105のテレ端最短距離でこのサイズ感
▲クローズアップレンズを装着すればここまで大きく写すことができて、むしろ荒が目立つくらい
▲ちなみにフィギュアのサイズはこんな具合

今回NiSiのクローズアップレンズを使用したのですが、これがスグレモノ。


基本的にレンズにフィルターを重ねればなにかしら光学的な影響はあります。それはレンズ保護用のプロテクトフィルターでも、です。解像度がおちたり、色温度が変わったり、その時は大丈夫でも被写体によっては大きく影響したりする可能性があるので、プロカメラマンはフィルターをいたずらに取り付けたりしません。

でもNiSiのクローズアップレンズはそういった懸念される影響を極限まで排除。全く違和感なく、描写が特徴的なレンズの良さあはそのままに最短距離を稼げるんです。

ちなみに価格は16800円。フィルター径は77mmと58mmが用意されています。

フィルターとしてははっきり言って高額です。でもマクロレンズの1/10の値段で手に入ると思うとちょっとリーズナブルな気もします。

マクロレンズ購入に踏み切る前にまずはNiSi製クローズアップレンズをお試しあれ。

初めての飛行機模型にタミヤ1/48飛燕をオススメするわけ

ガンプラを始め、キャラクタープラキットからプラモデル趣味の世界に足を踏み入れて、そろそろスケール模型にも挑戦してみたい…! と思ったときに、何を作るのが自分にとって最善なのかわからない人が意外と多い。

「作りたいものがあるからスケール模型に挑戦したいと思ったんじゃないの?」って、事の矛盾を指摘したくなる人もいるとは思いますが、制作意欲が湧く要因ってそんなに単純じゃないと思うんです。

スケール模型を楽しんでいる人たちを目の当たりにして、その輪に入って楽しさを共有したい、でも何を作ればそれができるのかがわからない、というメカニズムが結構多いんじゃないかと、経験上思うのです。

では、それが飛行機模型であったとき何がオススメでしょうか?

大戦機の代表格であるドイツ・メッサーシュミットBf109? 日本人なら大概知っている零戦? キットはとりあえずタミヤが作りやすいからタミヤのを選んでおけばOK!
これがおおよそセオリーな答えだと思うし、間違ってないでしょう。Bf109も零戦も、飛行機模型を作っているといずれ作ることになる機体です。

でもこれは見方を変えると、初心者はまずこれを作っておけば間違いない“安牌”を授けているだけで、これから飛行機模型を作ってみたいと思っている人の意欲をさらに掻き立てるためのキャッチーさは乏しいチョイスなのかなと思うわけです。

一言でいうと“ベタ”なんです。

結局、一周回ってベタが良かったりするんですけど、それはいろいろ藻掻いたあとでも遅くはないかなと、個人的には思います。

「飛燕」をチョイスするオススメポイントとは

Bf109でも零戦でもなく、日本の高速戦闘機「飛燕」をオススメする理由。

川崎重工が手掛けた大戦時の日本軍で唯一の液冷機で、エンジンが元ドイツ製っていうドイツのエッセンスが含まれたどことなくヒロイックで惹かれるデザイン、でも実際には整備性が悪いうえに敵からカモられるくらいの雑魚飛行機だったっていう、申し分ないエピソードを持った機体であること。

模型的な部分でいっても、迷彩の難易度は高いもののメインカラーが隠蔽力の高いシルバーなので、修正が効きやすく見映えも良い。作った後の満足度はかなり高いです。

デザインもどことなくドイツっぽい意匠で、零戦をはじめとする日本軍らしい飛行機にピンと来なかった人には結構ささる飛行機だと思います。

タミヤ 1/48 飛燕を完成させてみよう

▲キット内容にしてはボリュームが抑えられている印象のタミヤ1/48飛燕

キットはやはりタミヤ製が良くて、1/48スケールのものをオススメします。
飛行機模型は1/72のほうが作りやすいです。すぐ完成しますし。でも、たとえ初心者であってもやっぱり1/48が作りたい。ガンプラでいうなら1/72は1/144のハイグレード、1/48は1/100マスターグレードの位置づけに当たりますから…。

▲塗装直前の組めるところまで組んだ状態。コクピットが手つかずでもかなり形になります

とはいえ、タミヤの1/48飛燕自体はすごく親切設計になっていて、飛行機模型の特徴であり鬼門である“コクピットをボディーパーツで挟み込むから、先にコクピットやパイロットを塗装まで仕上げないと先には進めさせませんよ問題”が多少改善されていて、ボディを予め貼り合わせて合わせ目処理をした後でもコクピットがはめられるようになっています。
合わせ目処理の面積もかなり小さいのであっという間に処理することができます(ボディが真っ二つで全方位合わせ目処理なんてことは飛行機模型ではザラ)。

▲カタツムリみたいなスーパーチャージャーが見どころのエンジン。本体のほとんどが1パーツで再現されているので、組み立てただけで見応え充分。組み立てる楽しさがあります

エンジン再現がされているので、組み立てる楽しみも強いキットです。ただエンジンは組み付けると全く見えなくなります。それって意味ない! と思いきや、透明のボディパーツ(片側のみ)が入っているので、エンジンを活かした仕上げもできますし、もはや見えなくなっても苦になるほどのパーツ構成ではないので、エンタメとして楽しむのが健全です。

▲コクピットを仕上げて組み立てた状態

▲キャノピーは乗っけているだけ。

とりあえず組み立ててみました。
ディテールもはっきりしていて素組みでもかなり見映えがいいですよね。
エアブラシで塗装する場合は、先に紹介したバラバラの状態で行えばコクピットも並行して塗装することができます。
とはいえ、色分けのためのマスキングは必要になってくるんですけど、キャノピーには専用のマスキングシートが付属しているので超便利です。キャノピーの窓枠塗装が飛行機模型の鬼門の一つなので、幾分か軽減されているのはオススメポイントですね。

僕は基本筆塗りなので、キャノピー以外すべて組み立ててから塗装してしまいます。

筆塗りの場合、絶対に塗りムラが起こるので、塗りムラから暗い色が見え隠れするように影の部分に黒を塗ってあります。
ただ、シルバー自体隠蔽力が高いのでその効果はほとんど生まれないんですが、シルバーは下地によって仕上がりが変化するので、若干変化が付けられます。

▲デカールを貼った状態。これが一番時間がかかりました

筆ムラでヨレヨレしていて大丈夫? って雰囲気だったのが、デカールのシャキッとしたラインによって軽減されました。
なので、僕は塗装よりもデカールに神経を使います。デカール頼み。

完成したのがこちら。

汚しと黒バックで撮影するごまかし技で、まあまあ悪くない状態に仕上がってくれたと思います。
張線は貼ってません。というか、張り方知らない(笑)。いつでも張れるからとりあえず今はいいでしょう。

さらに内容にバフをかけるなら、制作期間は3日。18:00〜23:00くらいの5時間をそれぞれ使った計15時間で完成させています。
これは別に僕が模型を作るのが早いわけではなく、キットが良いからですよ。

ということで、その気になれば3日でドカンとかっこいい飛燕が完成させされる「タミヤ1/48 飛燕」。


初めての飛行機模型にいかがですか?